CFPが解説!あなたに合った保険選び
こんにちは。
CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)の永田です。
このコーナーでは、あなたに合った生命保険を考えるための、道しるべのようなものをお伝えしたいと思います。
最終的に保険商品を選ぶ際にはプロにご相談いただくことをお勧めいたしますが、やはりまずはご自身でそれなりの方針を持った上で相談に臨んでいただくと、より効果が高いとわたしは思います。
では、はじめましょう。
さて、わたしが普段お客様のご相談をいただく中で、よく耳にする言葉
「安くて良い保険案内してよ!」
ごもっともすぎて、反論の余地がありません。
「安くて」――これはもちろん掛け金のこと。当然安いに越したことはありませんよね?
「良い」――コレが意外とむずかしい。
「良い」保険ってなんでしょう?
たくさんお金が払われる保険? それとも細かなことでもお金が払われる保険? お金が貯まる保険?
どれも悪くはなさそうです。でも、わたしはこう考えます。
よい保険=あなたに合った保険
「良い生命保険選び」とは、いろんな保険会社のパンフレットから商品を選ぶことではなく、あなたに合った保険を探すということに他なりません。
当たり前のようにも思えますが、実はコレが難しいところです。
自分に合った、つまり自分に必要な保険のかたちとはどのようなものでしょう?でもこれだけだとあいまいすぎてもう一つはっきりしません。
そこで、わたしはまず、これをお客様にお聞きします。
- 「いつまで」「いくらの」保障が必要ですか?
- ただし、死亡保障と、医療保障は分けて考えて下さいね?
今まで何度もこの質問をさせていただきましたが、すんなり明確にお答えをいただけることはあまりありません。
「いつまで」保険が必要ですか?
生命保険は「終身型」と呼ばれるもの以外は、どこかで保障が終了するものです。で、当然ながら終了すれば、保障は完全になくなります。これはとても大切なことです。せっかく保険に入っていたのに、必要なときには終わってしまっている……では意味がありません。
ところが、意外にも「いつまで」を簡単に考えているお客様が多い印象を、わたしは日々感じています。考えていらっしゃったとしても、例えばご主人の保険を考えるときには「とりあえずこどもが大きくなるまで」といったお答えが多いです。お子様が成人されたあとも、奥様の人生は続くのですけれど……。
もちろん人生のステージによって必要な保障額は変わってくるでしょう。でも、それはあとの話。
まずは多かれ少なかれ、生命保険で保障を準備する必要があるのはいつまでか?そこに絞って考えてみることが重要です。
生命保険は一般的に保障期間が短いほど安くなる傾向がありますので、「いつまで」を軽く考えていると、ただ安いだけで、あなたが保障を必要とする期間をカバーし切れていない保険を選んでしまいがちです。そういう場合でも、更新ができる保険はたくさんあるのですが、年齢に伴って保険料が上がって行くことをよくご理解されずに契約され、いざその時になってお困りの方が多くいらっしゃるのが現実です。(実際にいろんなご相談を受けているわたしの実感です)
「いくらの」保障が必要ですか?
いきなり正確な金額をお答えいただくのは難しいと思いますが、せめてイメージくらいは持っていたいもの。
ここでよく使われるのが、必要なお金をどんどん足してゆきましょう、という手法です。
毎月の生活費は25万円あればなんとかなりますよね? こどもが大きくなるまでの20年分として計算すると……6000万円ですね!
お子さんが私立の大学に進学するとして、大学卒業までの学資として別途1000万円は上乗せする必要がありそうです。あと今お車に乗っていらっしゃるから、20年間の間に二回買い替えるとすると……まあ、安めのおクルマで我慢するとしても300万円はほしいところです。……etcetc
ということは、全部合計すると、しめて○○○○万円の保障が必要です!
(※ ここで挙げた数字は根拠のない一例です)
別にこれが間違っているとは言いません。
ですが、わたしは普段このようには考えません。その理由は……
万一のことがあったときに、そのあとの生活をすべて生命保険に頼る前提で「ほしいお金」をどんどん積み上げてゆけば、その金額が過剰になるのは目に見えているからです。
では、わたしはどのように考えるか?
基本は「収入(年収 or 月収)」です。
今の生活を考えてみると、さっきの例で書いたようなお金は確かに必要なのです。日々の生活のお金は必要だし、その他に学費などまとまったお金が必要となる場面もあります。
……でも、それは入ってくるお金の中でやりくりするものですよね?
毎月入ってくる収入の中で、日々の生活費、こどものための貯金、車を買い替えるための貯金、老後のための貯金、人によってはマイホーム購入のための貯金をしたりと、頭をひねってやりくりしますよね? それが当たり前の姿です。
ならば、シンプルに考えましょう。
万一の時、残されたご家族は毎月、もしくは年間でいくらのお金があれば生活できますか?
これは生活費ギリギリ最低限のお金ではありません。ふつうに頭をひねりながらやりくりをして、生活をしながら貯金もできる、そういうお金です。こう考えれば、特に家計を預かる主婦の方はイメージしやすいのではないでしょうか?
え? でも貯金もできるくらいの収入を元に計算したら、結局大きな生命保険に入らなくちゃならないのではないかですって?
いいえ、続きがあります。
「収入」から考えるということは、生命保険「以外」から入るお金があるのなら、それは生命保険で準備しなくてもよい、ということです。
具体的には、公的年金から支払われる「遺族年金」や、残されたご家族が働いて得る収入、すでに積み立て済みの学資など、準備済みのお金などです。
今まで専業主婦だった方が仕事を、それも子育てをしながらともなれば、パートタイマーのお仕事になるかもしれませんが、仮に月5万円の収入でも20年で1200万円ですから、これを生命保険での準備額から差し引けるということは、掛け金の無駄を省く上では充分に大きな要素となります。
まとめましょう。
生命保険で準備すべき金額 = (必要なお金(年間) - 入ってくるお金(年間))× 必要な年数
単純にいうとこんな感じです。
ただ、公的年金から支払われる金額は、それまでの職歴やご家族構成などによって大きく異なりますので、ここの見込は専門家にご相談の上、慎重に考えるべき部分ではあります。(例 : なくなられた方が厚生年金未加入なら、末のお子さまが18歳になると遺族年金は一切支払われません)
さて、これで、「いつまで、いくらくらいの」保障が必要なのか、大まかなイメージができるはずです。
もちろん、年間で必要な金額も子育て中とそのあと、さらには老後を迎えてからで徐々に変わってゆきますし、ここでは書ききれない考慮すべき事もまだまだあります。でも、このコーナーでお伝えしたいことは、あなたに合った保険の輪郭をイメージすることなのです。そのイメージを持たれた上で、専門家とご相談されることがより良い結果につながるのではないかと、わたしは思います。
保険料は「ムリなく」いくら払えますか?
なんとも下世話なサブタイトルになってしまいましたが、とても大切なこと。
保険料(掛け金)です。
いくらよい保険でも、掛け金が今の生活を必要以上に圧迫するようでは困りますよね。
もし、できあがった保険の掛け金が想定以上に高かった場合、無理のない金額に納まるように調整するべきです。
掛け金を下げるには大きく分けて二つの方法があります。
- 保障額を下げる
- 保障期間を短くする
- 保障のバリエーション(特約など)を削る
せっかく保障額も、期間もちゃんと考えたのに……
でも、心配ありません。
ちゃんと根拠を持って保障額や期間を考えたあなたなら、どこかを削るとしても、その優先順位は見えているはず。安くするために適当に内容をいじるのとはワケが違います。ただ、その削り方のさじ加減は微妙作業となります。要望はしっかり伝えていただいた上で、その作業は信頼できるプロにお任せいただくべき部分です。
とりあえず、あなたに合った生命保険の考え方を簡単にまとめてみました。
ここで作り上げたムダのない、よい保険の輪郭をより具体的にしてゆくには、あなたとご家族の状況や将来設計などをきちんと把握した上で、公的年金や相続、税金の知識など、保険以外の知識も駆使する必要があります。
わたしはCFPとして、保険のことだけでなくそのような周辺知識も備え、みなさまからのご相談に、日々お応えさせていただいています。
あなたにとって良い保険。
これを探したいときには、どうぞお声をかけて下さいね。相談だけ? もちろん歓迎いたします。
CFPによる生命保険見直しの流れ